群馬県行政書士会

行政書士とは?

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行政書士と代理権について

1.はじめに
皆さんは「代理」と聞いて、どのようなことをイメージしますか?
 ・「親が子供の代理をする。」
 ・「夫の代理で、妻が結婚式に出席した」 
 ・「プロ野球選手が契約更改において弁護士による代理交渉を行った。」など、
法律上だけでなく、いろいろな場面で代理という言葉が出てくると思います。実は行政書士もこの「代理」と深い関わりがあるのです。

行政書士の場合、「代理」というよりも「代書」というイメージの方がまだ強いと思いますが、平成14年7月に行政書士法が改正され、行政書士が代理して申請を行うことができるようになっています。この代理制度により、複雑な行政手続を専門家である行政書士にすべて委任することができ、その結果、申請者本人が何度も行政機関に行かなくとも、手続がすすめられるのです。

しかし、このような話を聞くこともあります。
「代理とか何とか言う前から、うちは○○先生に全てお任せだし、うちは一度も申請手続のために県庁や市役所なんかに行ったことないよ。」
「この間、ニュースで『交通事故の示談交渉の代理』をした行政書士が逮捕されたって聞いたけど、行政書士は『代理』と関係あるの?」 
もちろん代理と言いましても、どんなことでも行政書士が代理できるわけではありません。
またこれまで、行政書士が行ってきました「代行」は「代理」とは性質が異なっています。

そこで、このサイトでは、行政書士業務と密接な関係にある「代理権」についてご説明申し上げます。
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2. 行政書士の代理権
(1)代理とは?
 行政手続や契約などは、原則として当事者が行うことになっていますが、様々な理由で本人が手続できないことがあります。このときに誰かに手続を代わってしてもらうように「代理」制度(代理人制度)があります。
 また、行政手続や契約などにおいては、専門的な知識を必要とすることもありますので、そのようなときに私たち行政書士が、皆様に代わって行政機関に対する手続や契約書の作成を代理人として行うことにより、皆様のお役に立つことができます。
 最近では行政書士による代理申請をご理解されている官公署も増えてきまして、農地を宅地に転用する際などの農地法許可申請や建設業許可等にかかる申請等でも、行政書士の代理申請が認められております。
 また、会社を設立する際に必要な定款の作成及び公証役場における認証に関する手続についても、行政書士の代理権が認めており、最近では行政書士による電子定款作成代理業務も増えております。
  このように、法改正後に行政書士の代理権が広く認知されてきていることがお分かりいただけると思います。

 * 参考:行政書士法1条の3(平成14年7月1日施行)
  行政書士は、前条に規定する業務のほか、他人の依頼を受け報酬を得て、次に掲げる事務を業とすることすることができる。ただし、他の法律においてその業務を行うことが制限されている事項については、この限りではない。
一 前条の規定により行政書士が作成することができる官公署に提出する書類を官公署に提出する手続について代理すること。
二 前条の規定により行政書士が作成することができる契約その他に関する書類を代理人として作成すること。
 三 前条の規定により行政書士が作成することができる書類の作成について相談に応ずること。

(2)「代理」と「代行」
 「代理」によく似た言葉で「代行」という言葉があります。この代行は、法律上「使者」と言われていまして、あくまで契約の締結などの意思決定は本人が行い、代行者(使者)は本人がした意思表示をそのまま伝えることになります。
 そして、最初にも書きましたが、従来、行政書士は提出代行をしていました。そのため提出した書類の訂正等をするときには、本人の意思が必要であったため、その時は行政書士の職印ではなく申請者本人の訂正印が必要でした。
  しかし、行政書士の代理権が認められたことにより、行政書士の判断に基づいて申請書等の作成及び提出ができるようになり、行政書士がその場で職印を用いて補正・訂正が出来るようになりました。
 もちろん、これだけではありません。本人が申請に対して明らかに誤った判断をしていた場合でも、代理権があれば、その範囲内である限りは本人に説明して同意を得ることなく、私たち行政書士(代理人)の判断で適切に処理することも可能となるのです。
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3.代理権に関する事例
ここでは、代理に関する事例をいくつか挙げて、行政書士と代理権の関係について見ていきたいと思います。
 事例1
 Aさんは友達のBさんから中古車(普通車)を購入しようとしています。このときに必要な手続として「警察署での車庫証明の取得」「運輸支局での名義変更手続」をしたいのですが、AさんもBさんも平日は忙しくて、警察署や運輸支局には行けません。
 こんなときはどうしたら良いでしょうか。
 
 ⇒ この場合は、Aさん、Bさん以外の方に手続を代理してもらうことにより、手続がスムーズに進みます。2人はこの手続のためだけに無理に休暇をとる必要はありません。
   そして、これら手続の代理人として行政書士が皆様のお役に立ちます。
   なお、これらの書類作成及び提出代理については、原則として行政書士以外の人が報酬を得て行うことはできませんので、ぜひお近くの行政書士もしくは群馬県行政書士会にご相談下さい。

 事例2
  A子さんはある国から留学生として日本に在留していますが、この春に日本の大学を卒業し、日本国内のある貿易会社の通訳として勤務することが内定しています。そこで、「留学」の在留資格を「人文・国際」という就労のための在留資格に変更しようとしています。
  しかし、A子さんは引越しの準備や卒業論文の準備で忙しく、入国管理局に行く時間がありません。また、手続に必要な書類も多くて複雑だと聞いています。
  このような場合に、A子さんはどうしたらよいでしょうか。
 
 ⇒ 在留資格に関する手続については、原則として本人による申請となっております(委任状による代理は認めていません)。
 しかし、一定の手続を踏んで入国管理局に届出をしている行政書士については、「申請取次者」として認められており、事実上本人が入国管理局に行かなくとも、書類の提出が可能です。なお、代理ではなく取次ですので、申請書に本人の署名が必要です(委任状は不要です)。
   在留資格変更許可の手続につきましては、あなた自身に関する書類の他に就職先のほうで用意が必要な書類もあります。また作成が難しい書類も含まれておりますので、ぜひ行政書士にお任せ下さい。

 事例3
 A子さんは、自動車の運転中にXさんに追突されました。そして、Xさんに責任があることについては、争いがないのですが、賠償額については、XさんがA子さんの主張に応じてくれません。A子さんは早くこの件を終わりにしたいのですが、いつも仕事の都合でなかなか話し合うことができません。このような場合に行政書士に代理交渉をお願いしてもよいのでしょうか?
 
 ⇒ 今回は、賠償額についてお2人の見解が一致せず、法的な紛争となっておりますので、この場合の代理交渉を業として行うことは、弁護士法72条に触れますので、私たち行政書士は代理して交渉することはできません。
  しかし、行政書士法1条の3第2号で「契約その他に関する書類」を代理人として作成することは認められていますので、交渉が成立している示談(和解)について、当事者を代理して作成することは可能と思われます。
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4.代理の基本について
(1)代理の基本的構造(法定代理人・任意代理人)
 ここでは、これまでに述べてきた「代理」の基本的な内容について見ておきたいと思います。「代理」とは、本人と一定の関係にある代理人(未成年者に対する親権者や委任による代理があります)が、本人のために契約などの意思表示をすることによって、その効果を直接本人に帰属させる制度です。
 例えば、ある買主A(本人)のために、その代理人Bが、相手方である売主Cと売買契約を締結する意思表示をすれば、本人AはCに対して何もしなくとも、相手方Cとの間で売買契約が成立することになります。

(2)任意代理と法定代理
 代理には、「任意代理」と「法定代理」の二種類があります。
   ・任意代理 → 本人の意思(委任契約)による代理です。
            → 行政書士の業務としての代理権はこちらです。
   ・法定代理 → 親権者や成年後見人等、本人の意思によらない代理です。
            → 未成年者が契約をするときは、原則として法定代理人である親権者の同
              意が必要です。

(3)代理の要件
  @ 有効な法律行為があること
  A 代理権の存在
     → この点において依頼者から行政書士への委任状の交付が必要になります。
  B 自分が代理人であることの表示(顕名)が必要です(民法99条)。
     → 実務的には、上記の委任状交付によって顕名がされたことになります。

(4)自己契約・双方代理の禁止(民法108条)
 本人Aの代理人Bが自分(B)の所有する不動産を本人Aのために購入したり、本人Aの所有する不動産を自分(B)に売る契約を締結する場合など、ある法律行為について、その相手方の代理人となって自分自身と契約を締結することを「自己契約」といい、原則として認められていません。また、Aの代理人Bが契約の相手方Cの代理人をも兼務することを「双方代理」といい、これも認められていません。これら108条の制限に反する代理行為は、無権代理行為と同様であり、原則として無効です。
 但し、行政書士が自動車の名義変更に際して、売主及び買主双方の代理をすることは当事者本人の利益を害することがないため、認められています。

(5)無権代理
 例えば、行政書士BがAから何の依頼(委任)も受けていないにもかかわらず、Aの代理人 だと言って、勝手に相手方Cとの間でA所有の不動産の売買契約書の作成代理をした場合のように、代理権がない者が代理人として行為した場合が「無権代理」です。無権代理による代理行為については、原則として誰にも法律効果は帰属しません(無効)。
しかし、本人の追認(本人が「本当は代理権をあげてないけど、有効な代理権があることにしていいよ。」と代理行為の後で認めることです)によって、本人に効果を帰属させることができます(民法113条)。「追認」により、無権代理であった代理行為が有権代理と同様になり、その効果は本人に帰属することになります(116条)。
なお、本人が追認を拒絶し、しかも表見代理が成立しない場合には、代理の効果は発生しなません。この場合、相手方は無権代理人の責任を追及することになります(117条)。

(6)表見代理(民法109条、110条、112条)
 本人が代理権を与えていなくても、あたかもある人(無権代理人)に代理権を授与しているような外観を与えているような場合には、その外観を信頼した第三者を保護し、当該無権代理行為を有効な代理権のある法律行為として、本人に効果を帰属させる規定を「表見代理」と言います。

例1:販売業者Aはお客Cに対して、いつも「うちの取引は行政書士のBさんに任せているか
   ら。」といっているが、実はこれについてはAが自己の健全性をアピールするためのうそに
   過ぎなかった。しかし、この話を聞いたBはこのことを利用して、全く代理権をAから与えら
   れていないにも関わらず、Aの代理人として、Cを相手にある品物の売買契約を締結した。
   → この取引はAがBに代理権を与えたかのような表示をしており、それをCが信頼してい
      るのですから、たとえ代理権がなくとも、表見代理の規定により有効となります。

例2:AはBに対して、Cから20万円を借りる事についての代理権を与えた。ところがBはCか
   ら、Aの代理人として50万円を借りてきて、20万円はAに渡したが、残り30万円はBが
   使ってしまった。
   → 30万円の使い込みは、また別の問題ですが、AがBに代理権を与えていることは間
     違いのないことです。そしてBは代理権限を超えた契約をしていますが、この場合C
     が本当はBには20万円の代理権しかないという事情を知らず、50万円の代理権が
     あると信頼している場合には、50万円の契約が成立することになります。

例3:代理人Bは、Aから、A所有の車の売買契約の委任を解除されたが、まだ委任状と実印が
   手元にあったので、代理権がまだBに存続していると信じていたCを相手に売買契約を締
   結した。
   → この場合も代理権がまだあると信頼しているCを保護するため、表見代理により、売
     買契約を有効とします。

 今回は民法に規定する代理について少し触れてみました。ちょっと分かりづらかったかもしれ ませんが、代理の基本を知ることは、日常の取引において適切に代理制度を利用するためには重要なことかもしれません。
 また、商取引においては、この基本が若干修正されていますので、民法上の代理と商法上の代理の違いを知ることも必要ですが、少し複雑なので、また次回にお話することにしましょう。
 次回は、上記の商法上の代理権の話と代理権の行使において、注意しなければならない点についてお話することにしましょう。
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